化粧品の「本当のところ」
化粧品の浸透の誤解
化粧品は浸透する?しない?
よく「化粧水は浸透するのか?」という議論があります。
ですがそもそも、化粧品において浸透するのは、その化粧品に入っている「それぞれの成分」であって「化粧水自体が浸透する」わけでも「クリームがまるごと浸透する」わけでもありません。
ですから「化粧品が浸透するかどうか?」という質問に答えはなく「化粧品のこの成分は浸透するか?」という観点で考えなくてはなりません。
大まかにいうと「水、成分A、成分B、成分C」でできている化粧水があったとした場合「成分AとBは浸透する。成分Cは浸透しない。水は水道水を顔に塗ったときと同様」といった感じです。
ですが一方、化粧品に使われるひとつひとつの成分が肌に浸透するかどうかは、その成分が物質としてどういった性質を持っているのか、様々な要因に左右されるため、簡単にわかるものではありません。
「肌へ浸透」という広告
え?でも「濃厚な美容液が肌に浸透」という広告を見たことがある、という方もいるでしょう。
実は化粧品の「肌に浸透する」という広告は、あまり信用できません。
というのは、法律の規則上、化粧品は「作用が弱いもの」と定義されており、「浸透」を広告で表現する場合は「角質層への浸透まで」というルールがあります。(「肌へ浸透」と書いてある場合、どこかに「※角質層まで」という注釈があります)
角質層(角層ともいいますが)とは肌の表面にある0.02㎜(ラップ1枚くらいの厚さ)の死んだ細胞の層で、ここまでの浸透なら広告表現してよいとされているため、実際には、角質層より奥まで成分が浸透する化粧品も、角質層までも入らない化粧品も、ほとんどいっしょくたに「角質層まで浸透」という広告表現になってしまっています。
そもそも数万円の高級化粧品も100円ショップの化粧品も同じ法律の規制を受けているため、しょうがない状況ともいえますが、こういった理由から「浸透」に関する化粧品広告はあまり参考にしないほうがいいでしょう。

結論として、化粧品を選ぶ際に「浸透するかしないか」ということを考えても、それは成分ひとつひとつを調べて判断できる専門的な知識がないと難しい、ということになります。
化粧品の成分が浸透するかしないか、浸透したほうがいいのか悪いのか、を考えるのは化粧品メーカー側がすべきことなので「その化粧品メーカーがどういうことを考えているか」を見ることのほうが重要かもしれません。